調べるきっかけ
私はここ数年、1日1食(夜だけ好きなものを好きなだけ食べるスタイル)という食生活を送っている。
食事回数を減らすことで、食事をする時間のみならず、それらに関連する様々な行為(準備、調理、片付け、歯磨き等)にかかる時間も最小化でき、その分他の作業ができると考えているからだ。更に、仕事中に眠くなってしまうこともあるので、それを防ぐ目的で昼食は取らないようにしている。
この奇異な食生活に対して、他人に話すとよく驚かれる。そして、決まって「それで本当に大丈夫なのか?」と尋ねられるものの、正直なところ、その問いに対する明確な答えを持っておらず、自分自身でも本当にこれでいいのか分かっていない。
この問いについてググったところで、自称専門家のコメントというエビデンスレベルが低い情報しか出てこないので、今回は医学論文を調べ、備忘録的にブログに残しておいておくこととする。
論文解説
今回はこの論文について参照する。
Meessen ECE, Andresen H, van Barneveld T, van Riel A, Johansen EI, Kolnes AJ, Kemper EM, Olde Damink SWM, Schaap FG, Romijn JA, Jensen J, Soeters MR. Differential Effects of One Meal per Day in the Evening on Metabolic Health and Physical Performance in Lean Individuals. Front Physiol. 2022 Jan 11;12:771944. doi: 10.3389/fphys.2021.771944. PMID: 35087416; PMCID: PMC8787212.
実験概要
- 実験は、ランダム化クロスオーバー試験。
- 1日3回の食事(朝食、昼食、夕食)のグループと1日1回の食事(17:00から19:00の間のグループに分かれ、1日のエネルギー必要量を摂取する。
- 参加者は健康な13名で、そのうち 11 名 (男性5名、女性6名) が試験を完了した。
(年齢は 31.0 ± 1.7 歳、BMIは 24.0 ± 0.6 kg/m 、脂肪量 (%)は 24.0 ± 0.6 (平均 ± SEM)) - 断食期間は11日間で、1日1食グループでは17:00-19:00の時間帯だけ食事が許可されている。
- 食事制限時間内でも水分補給(水、コーヒー、紅茶)は許可されている。
ランダム化クロスオーバー試験
対象者をランダムに2群に分け、各群で別々の介入を行い評価した後に、各群の介入法を交換して再度評価する試験方法
今回の実験では、参加者をランダムに1日3食グループと1日1食グループの2群に分けて調査を行っている。断食期間である11日間経過後、2週間のウォッシュアウト期間を挟む。最後に参加者は最初とは異なるグループに分かれて再度実験をしている。
結果
体重
- 1日1食で総体重が減少する(1日3食 –0.5 ± 0.3 kg vs. 1日1食 –1.4 ± 0.3 kg、p = 0.03)
- 1日1食で脂肪量も減少する(1日3食 –0.1 ± 0.2 kg vs. 1日1食 –0.7 ± 0.2 kg、p = 0.049)
- 除脂肪体重については、両群で有意差なし(1日3食 –0.3 ± 0.3 kg vs. 1日1食 –0.7 ± 0.3 kg、p > 0.05)
- 骨密度についても、両群で有意差なし(1日3食 0.003 ± 0.01 g/cm2 vs. 1日1食 –0.005 ± 0.01 g/cm2、p > 0.05)
z徐脂肪体重 : 体重から脂肪量を除いた重さ、筋肉や骨、内臓などの総重量
血糖値
- 1日あたりの平均血糖値は両群で有意差なし
- 1日1食のパターンでは、12:00から24:00の間の血糖値はより低くなっている(p < 0.05)
身体活動
- 自覚的疲労感は、両群で有意差なし
- 最大等速度性筋力は、両群で有意差なし
- ジャンプの高さは、両群で有意差なし
まとめ
1日1食によって体重は減少するものの、徐脂肪体重については変化していないことから、筋肉量については問題なく維持されていることが分かる。更に、1日1食にしても疲労感や筋力低下などといった身体活動の低下を生じないことが分かった。
さらに、1食で3食分のエネルギーを摂取すると血糖値について懸念する人もいるが、研究結果を見る限りでは1日平均血糖値に特に有意差はなく、むしろ午後の時間帯では血糖値は低いので健康的ではなかろうか。
まとめると、健康な成人であれば、1日1食でも1日に必要なエネルギーを摂取できていれば、代謝調節を悪化させることなく過ごすことができる。
ということで、今後も引き続き”安心して”1日1食生活を続けていこうと思う。
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